あたらしいことはなにもできなかったけれど。

3月末から新型コロナウイルスの流行懸念のために休業にしていた庭文庫、6月からようやく開店することにしました。

たくさんの支援をいただいたクラウドファンディングが3月23日に終わって、よーーし宿やるぞーーー!出版社はじめるぞーーー!という矢先、3月はじめくらいからすこしずつ話題になっていた新型コロナがどうやら、想像以上にやばそうだとなったのが3月末でした。

早い時期からお店をおやすみにしたのは、ちょうどその時期に百瀬がすこし風邪っぽい症状が出たこと(結局熱も上がらず、特にコロナのような症状はなかったのだけれど)、遠くからのお客さんと近くのお客さんが混在するお店であること、そのウイルスに対してどんなふうに対処したらいいかわからなかったこと、もしも万一罹患者が出た場合のその人の生命の心配、わたしたちの心の負担などなどを勘案しておやすみにしよう、ということにしました。

その時点では、2週間くらいおやすみにしたら、また再開できるかな、なんてのんきなことを考えていたのだけれど、そこから県の自粛要請やら、緊急事態宣言やらでそんなことを言ってられない世相がありました。

お金のことも心配だったけれど、すこしだけ借入をしたり、休業補償があったりで、しばらくお金のことは大丈夫そうだ、となったときに、わたしを悩ませたのは「何かあたらしいことをしなければ」という強迫観念にも似た気持ちでした。

今まであんまり動かしていなかったネットショップをリニューアルしたり、3日に一度はいつ宿をはじめるかお金の計算をしながら頭を抱えたり、あさやけ出版の詩集作りのための作業をしたり、クラウドファンディングリターンの準備をしたり、おうちの掃除をしたり、そんな風に過ごしていました。それでも4月中旬くらいまではどうしても前向きな気持ちになれずに、なんだか息苦しい日々を送っていました。

FBやツイッターを見ると、お店や企業が「オンラインのこんなことはじめました!」「新しい時代に合わせてこんなサービスはじめます!」という言葉ばかりが目につくようになりました。すごいなあと素直に思うと同時に、わたしもなにかしなきゃっていう焦りもありました。同時に「お店を閉店します」というツイートもずいぶん見ました。そんな中で、わたしは何ができるだろうって考えていたけれど、すぐに答えは出なかったし、何かあたらしいことや誰かのためになることを結局はじめることができないまま2ヶ月が経ちました。

それでも、庭文庫を開店する前に、「こんなこと、したいな」と思っていたことをすこしずつ思い出す時間ができたことや、70seedsさんに♯みんクラのお声かけいただいたこと、ほんやのほの伊川さんにオンラインでインタビューを受けたことなど嬉しいこともありました。

2年前に開店しから今まで、日々の売り上げに追い立てられるような気持ちで過ごしていたのだけれど、やるべきこと、やりたいこと、そしてやらないことの整理がすこしだけついて、5月はすこしほっとした気分で過ごしていました。

今日、草の汁にまみれながら庭文庫のまわりの草刈りをしていました。(最近は草刈りと洗濯ばかりしている気がします。)6月からお店がまた開くことに、ちいさな嬉しさみたいなものがあります。そんな嬉しさを感じるようになってから、「なにかあたらしいことをしなくては」という焦りは薄くなってきたように感じています。

これから時代が変わるのかもしれないし、何も変わらないかもしれない。
どちらにせよ、わたしたちの日々は続いていくし、そこには草刈りも、お掃除も、本の在庫整理も、会計処理もある。そんな当たり前の日々を、誰かと一緒に過ごせることの嬉しさ、その誰かは家族だけではなくて、普段庭文庫に来てくれる人たちと一緒に過ごせることの尊さみたいなものを、今すごく感じています。

これからがどうなるか、わからないけれど、とりあえずお店、開けます。
でも、まだ心配な人もいるとおもうから、火水木曜日は完全予約制にして1時間1組限定で開けます。(ご希望の方は事前に連絡ください)

庭文庫として、あたらしいことはなにもできない二ヶ月だったけれど、コロナの第二波にできる限り注意しながら、それでもまたお店で会えること、とてもとても楽しみにしています。

この二ヶ月みなさんがどんな風に過ごしたか、またこっそり教えてください。

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