草木の一生

二年前の夏、長野の上高地を訪れた。前の晩降った雨が嘘のように、静かな小川と高い空の間を歩いた。水辺に草木が揺れていた。唐突に、「木になりたい」と漏らす当時の恋人の憧れがわかったような気持がした。 草木は、人を喜ばそうとは…