僕は昔 宇宙からやってきたスーパーヒーローでした。
地球の悪と戦っていた。
だけどカラータイマーが鳴り終えているのにも
気付かなくて
気付くと仲間も居ず 何もチカラもなくなっていて 唯 戦い続けていた。
そもそも何の武器もないのだから 地球人よりも弱い。
とても寂しくて心細くて、、でも戦い続けてきたのです。
ふと この地に追放されたスサノオの孤独を想いました。
彼も同じ気持ちだったのかも知れません。
あれは夕暮れ時だったか?
疲れて公園のベンチに座っていました。
気付くと、と或る子が鼻を鳴らして此方をみています。
人間にもみえるし、子猫にもみえる
もしかしたらこの子も宇宙からやってきたのかしら?
そんな気がしました。
近づいて頭を撫でると 身体をすり寄せて甘えてきます
〈あー何で僕はこんなところに居るのだろう?
それに一体何と戦ってきたのだろう? それって意味があるのだろうか?〉
そんなこと 思いました。
もう辺りは真っ暗で誰も居ません。
僕はその子に尋ねました。
〈君は何処から来たの?〉
何も答えません。
〈君も独りなの?〉
〈うん〉
〈僕も独りなんだ。お腹が空いたなぁ〉
と言うとその子は食べかけのコッペパンを差し出して
〈これあげるよ。食べていいよ!〉
って言ってくれました。
コッペパンを食べながら考えてました。
〈もう戦うのはやめよう。
この子と一緒にこの地でゆったりと
暮らしたいな〉
ふと そう思いました。
遠い昔の話です。
「世界最悪の旅」チェリー ガラード著 加納一郎訳
「トルストイ民話集 人はなんで生きるのか 他四編」トルストイ著 中村百葉訳
自分の生き方や世界観は、10代前半に読んだこの2冊に大きく影響を受けている。
と言うよりも何か刷り込まれてしまった感を今も持っています。
1冊目は、
極限下にあって人は如何に気高く在ることが出来るのか。
を記録したひとつの叙事詩であり、
2冊目は、
人は自分達の思い馳せるしかない〈大きな存在〉に、身とこころを委ね託す事によって
どれだけの恵みと救いをわたされ、
それを周りに居る人々と分かち合うことが出来るか。
を語る説話集です。
僕にとってこの2冊は全く違う性質を持ちながら
一対の作品として
〈多分、僕のなかでだけ〉
完成されてしまっているが故に
敢えて2冊を挙げさせて頂きました。