【素描第六回】好きなことを仕事にしたいわけではなかった
岐阜新聞の素描欄にて2018年9月~10月の毎週土曜日、全9回で掲載された庭文庫店主百瀬実希の文章を紹介します。 「古本屋をしています」と言うと「好きなことを仕事にできるっていいわね」と言われることがある。 […]
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岐阜新聞の素描欄にて2018年9月~10月の毎週土曜日、全9回で掲載された庭文庫店主百瀬実希の文章を紹介します。 「古本屋をしています」と言うと「好きなことを仕事にできるっていいわね」と言われることがある。 […]
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岐阜新聞の素描欄にて2018年9月~10月の毎週土曜日、全9回で掲載された庭文庫店主百瀬実希の文章を紹介します。 岐阜に移住してからは、東京で思い描いていた生活をした。明るいうちに洗濯物を干し、散歩に出て、毎日漫画を読ん
【素描第五回】無職の側には美しい山と稲穂があった 続きを読む »
岐阜新聞の素描欄にて2018年9月~10月の毎週土曜日、全9回で掲載された庭文庫店主百瀬実希の文章を紹介します。 岐阜に移住して、二年と半年になる。19歳まで沖縄で過ごし、大学進学のために大阪へ出て、東京で二年間働いてい
岐阜新聞の素描欄にて2018年9月~10月の毎週土曜日、全9回で掲載された庭文庫店主百瀬実希の文章を紹介します。 ラベリングという単語を知ったのは、大学生のときだった。「〇〇ちゃんて××よね」とその人に見えないラベルを貼
岐阜新聞の素描欄にて2018年9月~10月の毎週土曜日、全9回で掲載された庭文庫店主百瀬実希の文章を紹介します。 強い女の子になりたかった。毎晩リレーの練習をしたり、男の子に混じってサッカーをした。どれだけ体を動かしても
【素描第二回】幼き日の羅針盤『精霊の守り人』 続きを読む »
岐阜新聞の素描欄にて2018年9月~10月の毎週土曜日、全9回で掲載された庭文庫店主百瀬実希の文章を紹介します。 白い紙に黒いインクで書かれた文字がどうして知らない世界に連れて行ってくれるんだろう。それは、
二年前の夏、長野の上高地を訪れた。前の晩降った雨が嘘のように、静かな小川と高い空の間を歩いた。水辺に草木が揺れていた。唐突に、「木になりたい」と漏らす当時の恋人の憧れがわかったような気持がした。 草木は、人を喜ばそうとは
この前の土曜日、ジャズライブを見に行った。心身から湧き上がる音とガラス戸の向こうの緑とあたたかな古い電球。もう三日も前のことなのに、うまく感想を言うことができない。本当に好きなものの理由は言えない。ドラムの後ろに荒野に沈
雨が降っている。昼は春の風が吹いて、マフラーもコートもいらなかった。日本語には雨の名前がいくつもあるという。わたしははそれらを知らない。 言葉があるから感じ取れることがある、と教えてくれた本はジョージ・オーウェル『198
『ねこはしる』工藤直子 動物や木々が人間以上に慈しみを持っていると感じている人は少なくないかもしれない。工藤直子さんも、きっとそういう人のひとりだ。 慈しみと書くと、慈愛の精神のようにおもってしまうけれど、それは自他の境